これは、コロナ禍のなか来日公演中のウィーン・フィルの演奏会についての記事です。
会場に一歩足を踏み入れ、演奏者全員がマスク姿で登場するのを見て、この演奏会のために費やされた努力のすさまじさがしのばれたといいます。
演奏会は、コロナ禍がもたらしたさまざまなハンディゆえに、かつてない高度な内省と、たぐいまれなレベルでのアンサンブルと輝きを勝ち取っているように思えたということです。チャイコフスキーの「悲愴」の第1楽章半ば、「美は世界を救う」というドストエフスキーの一言が、脳裏をかすめたといいます。
指揮のゲルギエフは、そのシャイで誠実なアプローチによって、ロシア的な地平をはるかに突き抜けた、より普遍的な地点で音楽を築こうとしたということです。
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